若手の勉強会・自主公演など

若手俳優の勉強会として永い歴史を有するのは「稚魚の会」で、国立劇場歌舞伎俳優研修の修了生によるものです。その第1回公演は1972(昭和47)年。一方、直接歌舞伎俳優に弟子入りした俳優たちで組織された勉強会に「歌舞伎会」があり1978(昭和53)年にスタート、1988(昭和63)年からは「稚魚の会・歌舞伎会合同公演」も並行して開催されています。毎年8月に開催されるこれらの公演は「夏の風物詩」とされ、若手俳優にとっては大役に挑む貴重な機会であり、年々ファン層も広がり人気も高まっています。一方、伝統歌舞伎保存会の主催による「葉月会」が1982(昭和57)年から1998(平成10)年まで行われ、1999(平成11)年からは「伝統歌舞伎保存会研修発表会」がスタート、こちらも歌舞伎の将来を担う若手俳優たちのよき研鑽の場となっています。

また上方歌舞伎の継承を志す若手俳優による「上方歌舞伎会」も1990(平成2)年より続けられています。これに先行して関西では「若鮎の会」があり、ここで指導する十三代目片岡仁左衛門の姿が記録映画「歌舞伎役者 片岡仁左衛門」(羽田澄子監督)に残されています。さらに上方歌舞伎塾の1期生が2015(平成27)年に立ち上げた「晴(そら)の会」も2020(令和2)年で第6回を数えます。

これらの勉強会のほか、若手俳優が個々に企画し、様々な演目や役にチャレンジする自主公演も増え、その意欲が伝わってきます。最近のものでは尾上右近の「研の會」、尾上松也の「挑む」、中村梅玉一門の「高砂会」、市川九團次・大谷廣松の「九團次・廣松の会」、中村歌昇・種之助の「双蝶会」、中村鷹之資の「翔之會」などがあります。