片岡 愛之助 (6代目) カタオカ アイノスケ

屋号
松嶋屋
定紋
追いかけ五枚銀杏
所属
伝統歌舞伎保存会会員

プロフィール

▼次代を担う立役の1人として飛躍と奮闘を続ける花形だ。生粋の上方役者で、端正な面差しと爽やかな口跡、明朗な個性の持ち主。太い輪郭の人物造形、旺盛なサービス精神、進取の気風も併せ持つ。代表作といえるのは、活きの良い上方の男を活写した『夏祭』の団七、滝窓志賀之助など十数役を早替りで演じる本水使用の『鯉つかみ』、赤毛でフラメンコを踊る石川五右衛門を創出した新作の『GOEMON』シリーズ。加えて、『封印切』の忠兵衛、『廓文章』の伊左衛門など上方和事の二枚目から、『鳴神』の鳴神上人など江戸の荒事まで、手掛ける大役は幅広い。片岡仁左衛門から受け継いだ『義賢最期』の木曽義賢、『国性爺合戦』の和藤内といった義太夫狂言でのスケールの大きな主人公でも力感漲る演技を展開。座頭を勤める兵庫県豊岡市での永楽館歌舞伎、徳島県鳴門市でのシスティーナ歌舞伎では新作に次々取り組み、歌舞伎の可能性を押し広げている。

〔坂東亜矢子〕

経歴

芸歴

▼1972年3月4日生まれ。81年12月、十三代目片岡仁左衛門の部屋子となり、南座『勧進帳』の太刀持で片岡千代丸を名のり初舞台。92年1月、片岡秀太郎の養子となり、大阪・中座『勧進帳』の駿河次郎ほかで六代目片岡愛之助を襲名。94年名題昇進。2008年12月上方舞・楳茂都(うめもと)流の四代目家元を継承し三代目楳茂都扇性(せんしょう)を襲名。

受賞

▼1995年1月『因果小僧』の娘お吉で、2000年10月『小栗判官譚(おぐりはんがんものがたり)』の照手姫で国立劇場奨励賞。1997年咲くやこの花賞。2000年十三夜会賞。02年3月『冬桜』の北條時頼で、05年3月『本朝廿四孝』の武田勝頼で国立劇場優秀賞。03年大阪舞台芸術賞新人賞。05年大阪舞台芸術賞奨励賞。同年重要無形文化財(総合認定)に認定され、伝統歌舞伎保存会会員となる。06年第二十七回松尾芸能賞新人賞。10年12月十三夜会賞奨励賞。12年度京都府文化賞功労賞。13年度大阪文化賞。

著書・参考資料

▼著書(清水まり著)『愛之助が案内 永楽館ものがたり』(2015年、集英社)、著書(坂東亜矢子編)『愛之助日和』(17年、光文社)

舞台写真