市村 家橘 (17代目) イチムラ カキツ
- 屋号
- 橘屋
- 定紋
- 根割橘、渦巻
- 所属
- 伝統歌舞伎保存会会員
プロフィール
▼「家橘」の八代目は、九代目市川團十郎と共に明治の歌舞伎界に大活躍した五代目尾上菊五郎の、十代目が美男の誉れ高い十五代目市村羽左衛門のそれぞれ前名という、江戸三座・市村座ゆかりの大きな名跡だ。若い頃から様々な役を勤めてきたが、近年は立役の白塗り、色悪、老け役をこなし、時には女方と、その芸域は広い。ベテランの脇役として芸品の良さ、役の性根をしっかりと踏まえた演技で大舞台を支える。十七代目中村勘三郎のもとで修業、師の没後は十二代目市川團十郎の成田屋一門に加わった。『勧進帳』では思慮深い常陸坊海尊、『夏祭』では気風の良い団七女房お梶など、最近は市川海老蔵の主演舞台を支え、海老蔵の十三代目團十郎白猿襲名と共に市川宗家の重鎮としての役割が重要になってくるだろう。日本舞踊は村山流宗家、母方の曽祖父が近世の名人・五代目清元延寿太夫で家橘も清元、小唄の名取。趣味の居合抜きは国際大会で入賞する3段の腕前だ。
〔森 洋三〕
経歴
芸歴
▼1949年1月21日生まれ。二代目市村吉五郎(よしごろう)の長男。56年7月歌舞伎座『お祭り』の倅(せがれ)芳松で市村寿を名のり初舞台。67年10月歌舞伎座『島鵆(しまちどり)』のお仲ほかで十七代目市村家橘を襲名。73年7月名題昇進。
受賞
▼1959年大谷会長賞。79年重要無形文化財(総合認定)に認定され、伝統歌舞伎保存会会員となる。87年片岡仁左衛門賞。91年と95年に歌舞伎座賞。97年と2000年に眞山青果賞奨励賞。