松本 白鸚 (2代目) マツモト ハクオウ
- 屋号
- 高麗屋
- 定紋
- 浮線蝶、四ツ花菱
- 所属
- 伝統歌舞伎保存会会員
プロフィール
▼立役。歌舞伎のみならず、ミュージカルからストレートプレイまで、現代演劇界を代表する俳優。祖父・七代目松本幸四郎以来受け継がれる『勧進帳』の弁慶、『寺子屋』の松王丸、『忠臣蔵』の由良之助、『元禄忠臣蔵』の内蔵助、『伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)』の仁木弾正といった英雄役者としての役はもとより、父・初代松本白鸚が祖父・初代中村吉右衛門から継承した『熊谷陣屋』の熊谷直実、『天衣紛上野初花(くもにまごううえののはつはな)』の河内山も当たり役としている。弁慶では2008(平成20)年10月東大寺公演で上演1000回を数え、日本全都道府県での上演をも達成。作品の原点に回帰、役の解釈を掘り下げた演出にこだわり、還暦を過ぎてから『魚屋宗五郎』の宗五郎、『加賀鳶』の道玄といった黙阿弥物に新境地を拓く。近年では『不知火検校』で極悪人の検校を好演、新しい顔を見せた。『アマデウス』は前名・松本幸四郎襲名の翌年の1982(昭和57)年より35年間、『ラ・マンチャの男』はブロードウェイ主演も果たし、50年間演じ続けている。
〔小野幸恵〕
経歴
芸歴
▼1942年8月19日生まれ。八代目松本幸四郎(初代松本白鸚)の長男。46年5月東京劇場『助六』の外郎売の伜(せがれ)で二代目松本金太郎を名のり初舞台。49年9月東京劇場『逆櫓』の遠見の樋口で六代目市川染五郎を襲名。81年10・11月歌舞伎座『勧進帳』の弁慶ほかで九代目松本幸四郎を襲名。2018年1・2月歌舞伎座で二代目松本白鸚を襲名。
受賞
▼1965年と67年にテアトロン賞。65年度第三回ゴールデン・アロー賞大賞。68年名古屋演劇ペンクラブ年間賞。69年度芸術選奨文部大臣新人賞。72年重要無形文化財(総合認定)に認定され、伝統歌舞伎保存会会員となる。79年度日本芸術院賞。83年第二十四回毎日芸術賞。91年外務大臣表彰。93年サー・ジョン・ギールグッド賞。95年第十六回松尾芸能賞大賞。96年『ラ・マンチャの男』(95年6月青山劇場)で第三回読売演劇大賞最優秀男優賞。97年名古屋演劇ペンクラブ年間賞。98年眞山青果賞大賞。同年第二十三回菊田一夫演劇賞大賞。2002年第五十回菊池寛賞。02年度第四十回ゴールデン・アロー賞大賞。03年第十回坪内逍遙大賞。05年紫綬褒章。同年カスティーリャ・ラ・マンチャ栄誉賞。09年日本芸術院会員。12年文化功労者。13年早稲田大学芸術功労者表彰。15年度文化庁芸術祭賞大賞(演劇部門)。22年第四十七回菊田一夫演劇賞特別賞。同年文化勲章、ほか多数。
著書・参考資料
▼著書『ギャルソンになった王様』(1996年、廣済堂出版)、著書(大倉舜二写真)『松本幸四郎の俳遊俳談』(98年、朝日新聞社)、著書『弁慶のカーテンコール』(2006年、光文社、知恵の森文庫)、著書(松たか子著)『父と娘の往復書簡』(08年、文藝春秋)、著書『句集 仙翁花』(09年、三月書房)、著書『幸四郎的奇跡のはなし』(11年、東京新聞)、著書『松本幸四郎 私の履歴書』(13年、日本経済新聞出版社)、著書『句と絵で綴る 余白の時間』(19年、春陽堂書店)
舞台写真
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