中村 扇雀 (3代目) ナカムラ センジャク
- 屋号
- 成駒家
- 定紋
- 寒雀の中に扇
- 所属
- 伝統歌舞伎保存会会員
プロフィール
▼すっきりとした顔立ち。均整の取れた体つき。品の良さと現代的な知性を兼ね備えた花形役者である。『播州皿屋敷』のお菊、『仮名手本忠臣蔵』山科閑居の小浪などはその容姿を活かした女方の役どころだが、せりふ回しに腕が必要な『傾城反魂香』のおとく、しっとりとした風情が見どころの『ぢいさんばあさん』のるんなど、より幅広い役を手中に収めている。
二枚目・若衆方としての活躍も目立つ。国立劇場の『仮名手本忠臣蔵』の通しでは、勘平を演じた。『狐狸狐狸ばなし』の伊之助は独特の中性的な雰囲気が印象的だ。
上方の香りを伝える役者としての存在価値も大きい。『恋飛脚大和往来』新口村の傾城梅川は何度も父・四代目坂田藤十郎と演じ、今や定番の役。『封印切』の忠兵衛や『廓文章』の伊左衛門では、その父の「和事の芸」の継承者として芸を磨く。世話物から時代物、新作に至るまで、舞台を作るのに必要な役者の1人である。
〔田中 聡〕
経歴
芸歴
▼1960年12月19日生まれ。四代目坂田藤十郎の次男。兄は中村鴈治郎。67年11月歌舞伎座『紅梅曾我』の箱王丸で中村浩太郎(ひろたろう)を名のり初舞台。95年1月大阪・中座『本朝廿四孝』の八重垣姫ほかで三代目中村扇雀を襲名。
受賞
▼1969年11月『椿説弓張月』の為朝の子島君で国立劇場特別賞。87年関西で歌舞伎を育てる会演技賞。88年に2回と89年に十三夜会賞奨励賞。90年第九回眞山青果賞奨励賞。同年重要無形文化財(総合認定)に認定され、伝統歌舞伎保存会会員となる。2017年度日本芸術院賞。
著書・参考資料
▼著書『三代目扇雀を生きる』(2017年、論創社)。
舞台写真
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