市村 萬次郎 (2代目) イチムラ マンジロウ
- 屋号
- 橘屋
- 定紋
- 根上り橘、渦巻
- 所属
- 伝統歌舞伎保存会会員
プロフィール
▼やや高い声と明晰なせりふ、丸い目が印象的なベテラン女方。劇界の生き字引といわれた父・十七代目市村羽左衛門と同様、博学で知られ、戯曲の深い読解に基づいた役づくりに定評がある。その実力を買われ、2006(平成18)年には三谷幸喜作『決闘!高田馬場』に出演。長屋のおウメ婆さんを軽妙に演じて話題になった。その後も中島かずき作『阿弖流為(アテルイ)』の御霊(みたま)御前、青木豪脚本『マハーバーラタ戦記』の羅陀など、現代作家による新作で、唯一無二の個性を輝かせてきた。復活狂言や新作歌舞伎でも実力をいかんなく発揮しており、最近では『あらしのよるに』の狼おばば、『源氏物語』の紫式部などが忘れがたい。もちろん、これらの活躍は古典の確かな基礎があったればこそ。亡父の追善で演じた『女暫』の巴御前から『裏表先代萩』の栄御前、『伊勢音頭恋寝刃』のお鹿、『髪結新三』の後家お常まで自在に演じる。外国人に歌舞伎の魅力を発信する活動にも長年、力を入れている。
〔中村桂子〕
経歴
芸歴
▼1949年12月23日生まれ。十七代目市村羽左衛門の次男。55年10月歌舞伎座『土蜘』の石神で五代目市村竹松を名のり初舞台。72年5月歌舞伎座『暫』の照葉ほかで二代目市村萬次郎を襲名し名題昇進。
受賞
▼1974年重要無形文化財(総合認定)に認定され、伝統歌舞伎保存会会員となる。82年1月『吉様参由縁音信(きちさままいるゆかりのおとづれ)』の召使お杉で、84年1月『參會名護屋』の小姓弁十郎で国立劇場奨励賞。92年4月『盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)』の内びん虎蔵で、94年1月『勝相撲浮名花触』の権助女房おとりで、2015年3月『梅雨小袖昔八丈』の家主女房お角で国立劇場優秀賞。01年外務大臣表彰。
舞台写真
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