片岡 我勇 (2代目) カタオカ ガユウ
- 本名
- 佐藤辰次郎
- 屋号
- 松島屋
- 定紋
- 丸二引、丸に銀杏鶴
- 生没年月日
- 明治28(1895)年12月28日〜昭和38(1963)年05月31日
- 出身
- 東京・雑司ヶ谷
プロフィール
珍優といってもいいだろう。異常なほどの熱演家で、ことに大声が特徴だった。『曾我の対面』の並び大名の割ゼリフや侠客物・股旅物の子分の役に出ても、大きな声はきわ立っていた。菊五郎劇団の公演に出ることが多く、主な役は『一本刀土俵入』の波一里儀十一家の用心棒河岸山鬼一郎、『お祭佐七』のおででこ伝次など。
あるとき、『野崎村』の船頭を務めたところ、花道へ船がさしかかったところで客席に落ちてしまった。急いで這い上がると、船は綱に引っぱられてどんどん進んでゆく。慌てた彼は、花道の浪布の上を抜き手を切って泳ぐしぐさをして船を追いかけたという。劇作家宇野信夫が随筆の中で何度もおもしろそうに紹介していた逸話である。
【松井俊諭】
経歴
芸歴
明治35年5月末広座『先代萩』の鶴千代、市村座『曽我曙小曽我』の曽我一万で初舞台(芸名未詳)。明治43年5月十三代目守田勘弥に入門。大正8年3月帝劇専属となる。大正12年5月名題適任証取得、大正13年11月坂東品作を襲名し名題昇進。昭和15年5月片岡我勇を襲名。
受賞
昭和30年8月新橋演舞場『次郎長三国志』にて演技賞。