中村 翫之助 (4代目) ナカムラ カンノスケ

本名
伊藤一夫
屋号
成駒屋
定紋
祗園守、裏梅
生没年月日
昭和10(1935)年06月08日〜平成17(2005)年04月17日
出身
千葉県

プロフィール

古参の女形・三代目中村梅花を別格にすれば、七代目中村芝翫の一番弟子だった。弟弟子が育つまでは、芝翫の舞踊の後見を一手に引き受けていたのが印象的だった。中肉中背で、ちょっと四角くふっくらした顔。朴訥で生真面目な風貌。女形、立役両方こなすが、どちらかといえば本領は立役だったろう。白塗りでなく砥の紛の役ばかりだったようだ。長屋のおかみさん、遊び人の男など。しかし最もぴったりしていたのは、股立を取って棒を手にした実直な武家の下役の姿であろう。『籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)』の繁山栄之丞浪宅の雇婆を演じて、優男の栄之丞に対し、どこか女でもごつさがあるのが対称的で面白い味わいだった。面倒見がいいので、楽屋頭取もよくしていた。これから老けにいい味を出すだろうという矢先の急逝が惜しまれた。

【小宮暁子】

経歴

芸歴

七代目中村福助(のち七代目芝翫)に入門、昭和30年7月東横ホール『伊勢音頭』の町の女で中村福夫の名で初舞台。昭和47年11月歌舞伎座『国訛嫩笈摺(くになまりふたばのおいずる)(どんどろ大師)』の参詣の男で中村翫三と改名。昭和53年1月歌舞伎座『仮名手本忠臣蔵』九段目の供侍で中村翫之助と改名、名題昇進。平成2年4月伝統歌舞伎保存会会員の第8次認定を受ける。

受賞

昭和46年12月『日本振袖始』の大蛇の分身で国立劇場奨励賞。

舞台写真

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