市川 中車 (9代目) イチカワ チュウシャ
- 屋号
- 澤瀉屋
- 定紋
- 立澤瀉
プロフィール
▼立役。46歳で歌舞伎界入りして以来、映像分野の仕事を続けながら歌舞伎に取り組み、役柄の幅を広げている。大きな話題を呼んだ2012(平成24)年6・7月の新橋演舞場での襲名披露では『小栗栖の長兵衛』の長兵衛、『ヤマトタケル』の帝、『将軍江戸を去る』の山岡鉄太郎で演技派の本領を発揮し、父・市川猿翁と初共演を果たした2013(平成25)年1月の大阪松竹座『楼門五三桐』の五右衛門では、様式性の高い舞台で堂々とした存在感を印象付けた。以後、『一本刀土俵入』の茂兵衛、『ぢいさんばあさん』の伊織など新歌舞伎を中心にしつつ、『恋飛脚大和往来』の治右衛門、『夏祭』の義平次、『牡丹燈籠』の伴蔵、『芝浜革財布』の政五郎など、上方の芝居や世話狂言にも挑み、成果を上げてきた。細やかな内面描写に長け、『瞼の母』の忠太郎には生き別れた母への複雑な思いがにじんだ。1つひとつの役に真摯に取り組んで歌舞伎俳優としての実績を重ねている。
〔中村正子〕
経歴
芸歴
▼1965年12月7日生まれ。市川猿翁の長男。市川猿之助はいとこに当たる。89年NHK大河ドラマ『春日局』で本名・香川照之で俳優デビュー。2002年NHK大河ドラマ『利家とまつ』の豊臣秀吉、10年NHK大河ドラマ『竜馬伝』の岩崎弥太郎など、数々のテレビドラマや映画などで活躍。12年6・7月新橋演舞場『小栗栖の長兵衛』の長兵衛、『将軍江戸を去る』の山岡鉄太郞などで九代目市川中車を襲名し歌舞伎の初舞台。
受賞
▼2017年度第三十四回浅草芸能大賞奨励賞。
著書・参考資料
▼著書『市川中車 46歳の新参者』(2013年、講談社)