市川 欣弥 (初代) イチカワ キンヤ

屋号
澤瀉屋

プロフィール

▼立役。単なる万能選手の脇役者でなく、渋みのある風貌で何をさせても印象に残る。祖父が文楽の太夫、父が人形遣いという生まれ、関西の劇団で俳優人生をスタートさせ、前進座を経て市川猿翁の一門に入るという一見回り道のような経歴が、少しも邪魔にならないどころか、『義賢最期』の矢走兵内、『修禅寺物語』の金窪兵衛のようなひと癖ある役に通り一遍でない陰影を添える上で役に立っている。年配からいってもこれからますます珍重されるに違いない。

〔上村以和於〕

経歴

芸歴

▼1948年生まれ。祖父は四代目竹本大隅大夫、父は文楽の人形遣い吉田栄三郎、養父は能楽研究家坂本欣司。68年3月関西芸術座『明日をつむぐ娘達』の島崎役で初舞台。ともだち劇場、くるみ座、前進座養成所を経て74年4月前進座入座。片岡欣弥を名のる。87年4月から三代目市川猿之助(現・猿翁)門下となり、明治座『重重人重小町桜(じゅうにひとえこまちざくら)』の庄屋与次兵衛ほかで市川欣弥と改名。98年7月歌舞伎座『義経千本桜』鳥居前の駿河次郎で名題昇進。

受賞

▼1984年11月『ひらかな盛衰記』の立廻りで国立劇場特別賞。2006年3月『當世流小栗判官(とうりゅうおぐりはんがん)』の女中頭お熊で国立劇場奨励賞。1991年10月『菊宴月白浪』の飾磨宅兵衛で歌舞伎座賞、ほか。

舞台写真

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