中村 獅童 (2代目) ナカムラ シドウ

屋号
萬屋
定紋
桐蝶
所属
伝統歌舞伎保存会会員

プロフィール

▼立役。舞台映えする長身に、白塗りが似合う古風な顔立ち。映画やテレビでの活躍で、後ろ盾のない歌舞伎界での自らの立ち位置を切り開いてきた反骨精神の持ち主。「歌舞伎を見たことのない若者を振り向かせるのが使命」と自認し、現代的なセンスをフルに発揮して歌舞伎の裾野を広げる新たな展開に力を注ぐ。芸風は大胆にして繊細。『毛抜』の弾正では大らかな荒事の魅力を体現し、『瞼の母』の忠太郎は情のこもった演技に生き別れた母親への思慕をにじませて当たり役に。多彩な新作への取り組みには目を瞠(みは)る。歌舞伎と最新のICT技術の融合を謳う「超歌舞伎」ではバーチャルアイドルの初音ミクと“競演”を重ね、倉庫やライブハウスで上演したオフシアター歌舞伎『女殺油地獄』は古典の名作の現代性に新たな光を当てた。絵本を題材にした『あらしのよるに』は子どもたちにも人気で再演を重ねた。いずれも新しさを追求しながら歌舞伎の伝統を踏み外さないバランス感覚が光る。

〔中村正子〕

経歴

芸歴

▼1972年9月14日生まれ。初代中村獅童の長男。祖父は三代目中村時蔵。いとこに中村歌六、中村時蔵、中村又五郎、中村錦之助がいる。81年6月歌舞伎座『妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)』御殿の豆腐買の娘おひろで二代目中村獅童を名のり初舞台。98年名題適任証取得。

受賞

▼1983年10月歌舞伎座『春日局』の竹千代で松竹社長賞。96年8月歌舞伎座『狐狸狐狸ばなし』の娘おそめで歌舞伎座賞。97年6月「歌舞伎のみかた」の解説で国立劇場特別賞。2000年関西・歌舞伎を愛する会奨励賞。同年十三夜会賞。03年映画『ピンポン』のドラゴンで第二十六回日本アカデミー賞新人俳優賞、第四十回ゴールデン・アロー賞新人賞(映画)、第四十五回ブルーリボン賞新人賞、第十二回日本映画評論家大賞新人賞、第五十七回毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞。03年度第二十回浅草芸能大賞新人賞。04年映画『阿修羅のごとく』の勝又静雄で第二十七回日本アカデミー賞優秀助演男優賞。04年5月青山劇場『浪人街』などで05年第四十二回ゴールデン・アロー賞演劇賞。09年重要無形文化財(総合認定)に認定され、伝統歌舞伎保存会会員となる。16年第十回日藝賞。16年3月新派公演『寺田屋お登勢』の坂本龍馬で国立劇場優秀賞。

著書・参考資料

▼著書『歌舞伎座の怪人』(2009年、講談社)

舞台写真