坂東 秀調 (5代目) バンドウ シュウチョウ

屋号
大和屋
定紋
花かつみ
所属
伝統歌舞伎保存会会員

プロフィール

▼芸は人なりとか。誠実な人柄が立役をしても、女方に扮しても自然と芝居に出ている。2019(令和元)年の片岡仁左衛門の『盛綱陣屋』で、高綱のにせ首を持って出る古郡新左衛門や、尾上菊五郎の『野晒悟助』で、娘を思い、受けた恩を忘れぬ土器売の詫助といい、はったりやごまかしがなく、武将、親父の“らしさ”がにじみ出ていた。このほかにも、『魚屋宗五郎』の殿様の軽率を諌める家老浦戸十左衛門も、『鎌倉三代記』の情の篤い母長門も、受けを狙ったりしない正統派の芝居ぶりだ。この優の表情が曇ることがある。いとこの十代目坂東三津五郎の還暦前の早世(2015(平成27)年死去)を悔む時だ。三津五郎の芝居で、『髪結新三』の車力善八、『矢の根』で曽我五郎に馬を借用される馬士、新作『ゆうれい貸家』のお勘、三津五郎最後の舞台『たぬき』の生糸商人など、数々の舞台を共にした。人の寿命に先後はないとはいえ、年下のいとこに先立たれた悔しさは察して余りある。

〔朝田富次〕

経歴

芸歴

▼1948年3月24日生まれ。十代目市川高麗蔵の長男。叔父に九代目坂東三津五郎、従兄弟に十代目坂東三津五郎がいる。55年4月歌舞伎座『新・平家物語』の乙若ほかで二代目坂東慶三を名のり初舞台。75年名題昇進。87年9月歌舞伎座『車引』の桜丸ほかで五代目坂東秀調を襲名。

受賞

▼1974年重要無形文化財(総合認定)に認定され、伝統歌舞伎保存会会員となる。80年3月『京鹿子娘道成寺』の所化で国立劇場特別賞。95年6月「歌舞伎のみかた」の解説と『河内山』の宮崎数馬で国立劇場優秀賞。97年眞山青果賞奨励賞。

舞台写真