坂東 玉三郎 (5代目) バンドウ タマサブロウ

屋号
大和屋
定紋
花かつみ、のし菱
所属
伝統歌舞伎保存会会員

プロフィール

▼歌舞伎界を代表する立女形(たておやま)。『兜軍記』の阿古屋、『籠釣瓶』の八ツ橋、『先代萩』の政岡など六代目中村歌右衛門が演じた数々の大役を継承し、新しい境地を構築している。南北の『桜姫東文章』『盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)』『四谷怪談』などでも独自の芸風を展開し、高い評価を得てきた。泉鏡花の耽美的な世界の舞台化にも意欲的で、『天守物語』をはじめ、『海神別荘』『夜叉ヶ池』など優れた舞台を創りあげた。また歌舞伎の枠を超え、女方として世界のさまざまな舞台芸術に大きな影響を与えている。30代でニューヨーク・メトロポリタン歌劇場に招聘されて『鷺娘』を踊り絶賛されたのをはじめ、アンジェイ・ワイダやダニエル・シュミットの映画作品、モーリス・ベジャールやヨーヨー・マなどの芸術家たちと多彩なコラボレーションを重ね、近年は中国の崑劇『牡丹亭』、琉球古典芸能組踊の新作『聞得大君誕生(ちふぃじんたんじょう)』に主演するなど女方の可能性、普遍性を追求。尾上菊之助、中村七之助などを指導して後継者育成にも努めている。

〔石山俊彦〕

経歴

芸歴

▼1957年12月東横ホール『寺子屋』の小太郎で坂東喜の字を名のり初舞台。64年6月十四代目守田勘弥の養子となり、歌舞伎座『心中刃は氷の朔日(しんじゅうやいばはこおりのついたち)』のおたまほかで五代目坂東玉三郎を襲名。

受賞

▼1970年度芸術選奨文部大臣新人賞。70年度第八回ゴールデン・アロー賞演劇賞。71年名古屋演劇ペンクラブ特別賞。74年重要無形文化財(総合認定)に認定され、伝統歌舞伎保存会会員となる。76年『マクベス』で名古屋演劇ペンクラブ年間賞。78年度第十五回ゴールデン・アロー賞演劇賞。81年第二回松尾芸能賞優秀賞。84年度第三回都民文化栄誉章。91年フランス芸術文化勲章シュバリエ章、中国文化大学名誉文学博士号。92年泉鏡花文学賞特別賞。93年ジャン・コクトー国際賞。97年第六回モンブラン国際文化賞。98年第三十九回毎日芸術賞。同年第五回読売演劇大賞最優秀男優賞。2009年第五十七回菊池寛賞。11年第二十七回京都賞(思想・芸術部門)。12年重要無形文化財保持者(人間国宝)。13年フランス芸術文化勲章コマンドゥール章。14年紫綬褒章。15年度日本芸術院賞・恩賜賞。18年第三十九回松尾芸能賞大賞。19年岩谷時子賞、第31回高松宮殿下記念世界文化賞(演劇・映像部門)、文化功労者、日本芸術院会員、ほか。

著書・参考資料

▼写真集(篠山紀信撮影)『女形玉三郎』(1972年、講談社)、写真集(奥村喜一郎・谷田貝高幸撮影)『坂東玉三郎 ひかりの中で』(79年、松竹)、著書(篠山紀信写真)『坂東玉三郎-冬の旅 ヨーロッパの古都を歩いて』(81年、講談社)、写真集(大倉舜二写真)『坂東玉三郎 ONNAGATA』(83年、平凡社)、写真集(篠山紀信写真)『坂東玉三郎の世界』(88年、朝日新聞社)、写真集(岸野正彦写真)『監督 坂東玉三郎「夢の女」』(93年、NTT出版)、写真集(福田尚武写真)『坂東玉三郎舞台写真集』(98年、朝日ソノラマ)、写真集(篠山紀信写真)『五代目 坂東玉三郎』(07年、講談社)、ムック(篠山紀信撮影)『坂東玉三郎 すべては舞台の美のために』(09年、小学館)、写真集(篠山紀信撮影)『THE LAST SHOW TAMASABURO AND THE KABUKIZA』(10年、小学館)、写真集(福田尚武写真)『坂東玉三郎 舞台』(12年、小学館)

舞台写真