市川 齊入 (2代目) イチカワ サイニュウ
- 屋号
- 高嶋屋
- 定紋
- 右三ツ巴
- 所属
- 伝統歌舞伎保存会会員
プロフィール
▼立役から女方まで幅広い持ち役があり、成田屋一門の最古参として市川宗家を支えている。関西で『鯉つかみ』などを当たり役に人気のあった二代目市川右團次の孫。関西歌舞伎の重鎮だった三代目市川寿海の部屋子として修業を重ねたこともあって、芸に柔らかみと色気がある。師匠が亡くなった後、20代で十二代目市川團十郎門下に入って、もう45年が過ぎた。『傾城反魂香』では修理之助に始まり、今では品格ある北の方に安定感がある。『すし屋』の権太の母、『引窓』の母お幸など、母役に温かみがあり、『鳴神』の白雲坊、『勧進帳』の四天王など立役も演じる。2017(平成29)年に曽祖父が引退まで名乗った齊入を襲名し、実に103年ぶりの名跡復活だった。市川海老蔵の信頼も厚く、歌舞伎座の自身の襲名で『加賀鳶』の海老蔵の道玄でお兼を初役で演じ、『夏祭浪花鑑』では海老蔵の団七で女房お梶を演じたことも。上方、江戸両方の狂言で、年季の入った存在感を放っている。
〔林 尚之〕
経歴
芸歴
▼1947年10月1日生まれ。55年10月三代目市川寿海の部屋子となり、大阪歌舞伎座『寺子屋』の小太郎で三代目市川右之助を名のり初舞台。73年2月から十代目市川海老蔵(十二代目市川團十郎)の一門に加入。2017年7月歌舞伎座『加賀鳶』のお兼ほかで二代目市川齊入を襲名。
受賞
▼1974年重要無形文化財(総合認定)に認定され、伝統歌舞伎保存会会員となる。80年11月『貞操花鳥羽恋塚(みさおのはなとばのこいづか)』の千人禿(かむろ)重若で、89年3月『加賀鳶』のお朝ほかで、99年1月『色暦玄冶店(いろごよみげんやだな)』の下女お磯で国立劇場奨励賞。94年歌舞伎座賞。95年3月『身替座禅』の太郎冠者で、96年7月『傾城反魂香』の将監北の方で、2006年6月『国性爺合戦』の母渚で国立劇場優秀賞。
舞台写真
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