中村 東蔵 (6代目) ナカムラ トウゾウ
- 屋号
- 加賀屋
- 定紋
- 梅八ツ藤
- 所属
- 伝統歌舞伎保存会会員
プロフィール
▼『廓文章』吉田屋で喜左衛門を初役で演じたかと思うと『吉田屋』のパロディ化『二人夕霧(ににんゆうぎり)』では、2人の夕霧の喧嘩を仲裁する吉田屋女房おきさを演じた。『絵本太功記』では妻操と母皐月、『一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)』ではお京も鳴瀬も持ち役である。『寿式三番叟』の翁は品格があった。『一本刀土俵入』の根吉はキビキビした動きを見せ、『双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)』引窓のお幸は、実子と継子との間で揺れ動く心情が伝わってくる。女方から立役まで時代、世話を問わず老若男女なんでも自在に演じる芸域の広さ。新国劇の子役でデビューし、時代劇映画で活躍後、六代目中村歌右衛門の芸養子となり、歌舞伎座『加賀見山旧錦絵(かがみやまこきょうのにしきえ)』の谷沢主水ほかで初舞台を踏んだのは23歳の時である。器用というより努力の人でつねに役を研究し、どんな初役がきても喜んで取り組む。静かな人柄に見えるが炎のように燃えている。2016(平成28)年、人間国宝となり歌舞伎界になくてはならぬ存在になった。
〔横溝幸子〕
経歴
芸歴
▼1938年1月21日生まれ。初代藤間紫の弟。映画、舞台などに出たのち六代目中村歌右衛門の芸養子となった。61年9月歌舞伎座『加賀見山旧錦絵』の谷沢主水ほかで三代目中村玉太郎を名のって歌舞伎の初舞台。67年4・5月歌舞伎座『根元草摺引』の五郎ほかで六代目中村東蔵を襲名。
受賞
▼1974年重要無形文化財(総合認定)に認定され、伝統歌舞伎保存会会員となる。82年12月『義経千本桜』の入江丹蔵などで、92年12月『吉田屋』の女房おきさで、99年7月『石切梶原』の六郎太夫で、2000年1月『嫗山姥』の腰元お歌で、03年1月『双蝶々曲輪日記』米屋の場の長吉姉おせきで、06年10月『元禄忠臣蔵』の奥野将監ほかで、10年11月『国性爺合戦』の母渚で、14年10月『双蝶々曲輪日記』引窓の母お幸で国立劇場優秀賞。85年10月『牧の方』の腰元折枝で国立劇場奨励賞。90年と2000年に眞山青果賞奨励賞。1995年歌舞伎座賞。98年眞山青果賞特別賞。2004年第二十五回松尾芸能賞優秀賞。16年重要無形文化財保持者(人間国宝)。18年旭日小綬章。
舞台写真
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