中村 福助 (9代目) ナカムラ フクスケ
- 屋号
- 成駒屋
- 定紋
- 祗園守、裏梅
- 所属
- 伝統歌舞伎保存会会員
プロフィール
▼声良し、姿良しで芸熱心な女方。若くして頭角を現し、大役に成果をあげ、七代目中村歌右衛門襲名も決まり、さらなる活躍が期待されていたが、2013(平成25)年11月の公演中に病に倒れた。4年10カ月ぶりの舞台出演は2018(平成30)年9月歌舞伎座の『金閣寺』の慶寿院尼。拍手は鳴りやまず、歓喜を持って迎えられた。以前と変わらぬ美しい姿で台詞もはっきりと聞こえた。その後は『吉例寿曽我』の工藤奥方梛(なぎ)の葉、『平成代名残絵巻(おさまるみよなごりのえまき)』の常盤御前、『寺子屋』の園生の前で舞台姿を披露。『金閣寺』の雪姫、『本朝廿四孝』の八重垣姫、『鎌倉三代記』の時姫の三姫を始めとする姫役から『助六』の揚巻、『籠釣瓶』の八ツ橋などの傾城、歌舞伎十八番物の『鳴神』の雲の絶間姫、世話物では『与話情浮名横櫛』のお富、舞踊では『娘道成寺』の白拍子花子、新歌舞伎では『番町皿屋敷』のお菊など芸域は広く、どんな役でも優れた解釈力で自在にこなす逸材。本格的な復帰が待たれる。
〔小玉祥子〕
経歴
芸歴
▼1960年10月29日生まれ。七代目中村芝翫の長男。67年4・5月歌舞伎座『野崎村』の庄屋の倅(せがれ)栄三ほかで五代目中村児太郎を名のり初舞台。81年名題適任証取得。92年4月歌舞伎座『金閣寺』の雪姫と『娘道成寺』の白拍子花子で九代目中村福助を襲名。
受賞
▼1970年5月『柳影澤螢火』の小坊主浄念で、80年6月『御所桜堀川夜討』の卿の君と信夫で、同年12月『玉藻前曦袂(たまものまえあさひのたもと)』の腰元真弓などで国立劇場奨励賞。82年度芸術選奨文部大臣新人賞。83年重要無形文化財(総合認定)に認定され、伝統歌舞伎保存会会員となる。84年第五回松尾芸能賞新人賞。90年松竹社長賞。同年名古屋演劇ペンクラブ奨励賞。92年度眞山青果賞奨励賞。96年松竹会長賞。98年度眞山青果賞。99年度第九回日本映画批評家大賞特別文化大賞。2001年関西・歌舞伎を愛する会賞。04年度日本芸術院賞。09年1月『象引』の弥生姫などで国立劇場優秀賞。