中村 松江 (6代目) ナカムラ マツエ
- 屋号
- 加賀屋
- 定紋
- 梅八ッ藤
- 所属
- 伝統歌舞伎保存会会員
プロフィール
▼人間国宝・中村東蔵の長男。父の前名・中村玉太郎から中村松江を襲名したのは、2006(平成18)年4月。端正で品があり、おっとりしている。若い頃は『夏祭浪花鑑』の琴浦や『天衣紛上野初花(くもにまごううえののはつはな)』の浪路、『助六由縁江戸桜』の傾城など女方も兼ねる役者だったが、最近は『連獅子』の法華の僧、『寿曽我対面』では工藤祐経の家臣・近江小藤太や八幡三郎、『め組の喧嘩』ではお抱えの力士を島崎楼に連れて行く武士三池八右衛門や『梶原平三誉石切』石切梶原では梶原方大名と立役を中心に演じている。国立劇場歌舞伎鑑賞教室(2019(令和元)年7月)の『菅原伝授手習鑑』車引では、牛車から登場する藤原時平を演じていた。端正な顔に藍隈がはえたが、もっと大きさと凄みを出せたら新境地開拓にも繋がるのではないか。働き盛りの50代だけに枠を破る冒険も必要だろう。『平家女護島』の端正な丹波少将成経や『南総里見八犬伝』で伏姫を助ける金碗大輔などははまり役である。
〔横溝幸子〕
経歴
芸歴
▼1966年3月8日生まれ。中村東蔵の長男。76年4月歌舞伎座『鏡獅子』の胡蝶で初お目見得。同年11月歌舞伎座『伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)』の鶴千代で四代目中村玉太郎を名のり初舞台。98年名題適任証取得。2006年4月歌舞伎座『関八州繋馬』の源頼平と『伊勢音頭恋寝刃』の今田万次郎で六代目中村松江を襲名。
受賞
▼1989年10月『熊野(ゆや)』の侍女早蕨で、98年10月『佐倉義民伝』の植村要人で、2002年12月『彦山権現誓助剣(ひこさんごんげんちかいのすけだち)』の杣斧右衛門で、10年11月『国性爺合戦』の梅勒王で国立劇場奨励賞。96年1月『時雨の炬燵(しぐれのこたつ)』の丁稚三五郎で歌舞伎座賞。2005年1月『御ひいき勧進帳』の粕谷藤太有末で国立劇場優秀賞。同年重要無形文化財(総合認定)に認定され、伝統歌舞伎保存会会員となる。
舞台写真
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