市川 猿翁 (2代目) イチカワ エンオウ

屋号
澤瀉屋
定紋
澤瀉、三ッ猿
所属
伝統歌舞伎保存会会員

プロフィール

▼体調を崩して舞台を休演しているが、昭和から平成にかけての歌舞伎界に大きな業績を残した。その仕事は2010(平成21)年に発表した「猿之助四十八撰」に集約されている。1つは埋もれていた古狂言の復活通しで、物語を通しスピーディで視覚美に富んだ演技、演出を見せる舞台。1967(昭和42)年に初演した『金門五山桐』に始まり2003(平成15)年の『競伊勢物語(はでくらべいせものがたり)』まで18作品を数える。なかでも1979(昭和54)年初演の『慙紅葉汗顔見勢(はじもみじあせのかおみせ)』は通称「伊達の十役」と呼ばれ、伊達騒動物に出る主要な10役を1人で演じる舞台で、奈河彰輔と猿之助が古い資料を基に新しい台本を創作して上演した。市川海老蔵、松本幸四郎が継承して演じている。次が歌舞伎の演技法を活かしながら最新の舞台機構、美術、照明で新作を上演するスーパー歌舞伎で、1986(昭和61)年初演の『ヤマトタケル』をはじめ10作品。このほか『義経千本桜 忠信篇』ら古典10作品の新演出、舞踊劇集「華果十曲」があり、歌舞伎の観客の裾野を広げた。

〔水落 潔〕

経歴

芸歴

▼1939年12月9日生まれ。三代目市川段四郎の長男。47年1月東京劇場『二人三番叟』の附千歳で三代目市川団子(だんこ)の名で初舞台。63年5月歌舞伎座『吉野山』の忠信、『黒塚』の鬼女などで三代目市川猿之助を襲名。2012年6・7月新橋演舞場で二代目市川猿翁を襲名。

受賞

▼1965年度第十一回テアトロン賞。69年8月御園座『凄艶四谷怪談(せいえんよつやかいだん)』などの成果で名古屋演劇ペンクラブ年間賞。72年重要無形文化財(総合認定)に認定され、伝統歌舞伎保存会会員となる。76年度芸術選奨文部大臣新人賞。78年12月中日劇場「猿翁十種集特別舞踊公演」の成果で名古屋演劇ペンクラブ年間賞。79年11月サンシャイン劇場『奥州安達原』の企画・演出で芸術祭優秀賞。80年第一回松尾芸能賞優秀賞。82年10月新橋演舞場『新装鏡山再岩藤(かきかえてかがみやまごにちのいわふじ)』の演出・演技で芸術祭優秀賞。83年度第二十五回毎日芸術賞。87年第八回松尾芸能大賞。同年パリ市ベルメイユ賞、ルアーブル市名誉市民章及びオフィシエ勲章を受章。87年度第六回都民文化栄誉章。89年度芸術選奨文部大臣賞。89年5月中日劇場『リュウオー』の成果で名古屋演劇ペンクラブ年間賞。94年外務大臣表彰。96年第十五回眞山青果賞大賞。同年第四十四回菊池寛賞。97年第四回読売演劇大賞優秀男優賞。98年第六回読売演劇大賞優秀演出家賞。2000年紫綬褒章。同年宙乗り五千回達成に対してギネス認定。01年度第十八回浅草芸能大賞。03年第三回朝日舞台芸術賞特別賞。10年文化功労者。13年第二十二回モンブラン国際文化賞。

著書・参考資料

▼著書『演者の目』(1976年、朝日新聞社)、写真集(平沢一郎写真)『翔 市川猿之助写真集』(80年、ダイナミックセラーズ)、著書『猿之助の歌舞伎講座』(84年、新潮社)、著書『猿之助修羅舞台』(84年、大和出版)、写真集(稲越功一写真)『市川猿之助』(93年、講談社)、写真集『PASSION-市川猿之助と二十一世紀歌舞伎組』(97年、NHK出版)、著書(横内謙介著)『夢みるちから-スーパー歌舞伎という未来』(2001年、春秋社)、『三代目 猿之助の絵』(12年、講談社)

舞台写真

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