岩井 若次郎 イワイ ワカジロウ

本名
穐野吉昭
屋号
大和屋
定紋
三ツ扇
生没年月日
昭和17(1942)年10月14日〜平成25(2013)年03月31日

プロフィール

 東宝芸能学校を卒業し、東宝劇場で初舞台を踏んだあと十代目岩井半四郎に弟子入り。

 堂々とした体格の偉丈夫。黒無地の御仕着に尻っぱしょり、幕開き塵しずめの仲間(ちゅうげん)姿がぴったりはまった。押し出しがいいので、高足駄に袴の股立を取って木刀を引っ下げた剣術家の弟子なども堂に入って目に立つ存在であった。いかにも強そうなのだ。しかし、並びが2番手くらいなのでせりふに関する印象が薄かった。

 立派な体格のゆえか、顔をみせない縁の下の力持ち役、動物の足も得意だった。それも馬より牛の足。牛の役がそうあるわけではないが、『菅原伝授手習鑑』「加茂堤」の牛で受賞した折の印象が強いからかもしれない。

 後年は幕内の雑事諸事万端を処理する頭取を兼ねていた。頭取部屋での温厚でゆったりした対応の様子が眼に残る。いつまでも若々しく明るい雰囲気が好もしい役者だった。

【小宮暁子】

経歴

芸歴

昭和36年6月東宝劇場で初舞台。37年6月十代目岩井半四郎門下となり岩井若次郎を名のる。頭取を兼ねる。平成21年9月伝統歌舞伎保存会会員の第12次認定を受ける。

受賞

昭和41年11月『菅原伝授手習鑑』加茂堤の場の牛で第1回国立劇場奨励賞、ほか。