中村 東 (初代) ナカムラ アズマ
- 本名
- 黒崎宗治
- 屋号
- 加賀屋
- 定紋
- 熨斗丸
- 生没年月日
- 大正14(1925)年01月13日〜昭和49(1974)年11月29日
- 出身
- 東京
プロフィール
八代目市川中車に入門し、女形として修業し、戦後は十四代目守田勘弥の一門となったが、女形の扮装で日本画のモデルになったり、東劇バーレスクに出演したこともあるという変わり種。しかし二代目坂東かしくを襲名しているから、実力を評価されていたのであろう。若い頃はポッチャリとふくよかな女形だったようだが、どちらかといえば世話物の長屋の年増の女房などがよく似合う、庶民的な雰囲気の女形だった。どこか古風な雰囲気があって、味のあるわき役の老け女形になるだろうと期待されながら、50歳間近で亡くなったのが惜しまれる。
【浅原恒男】
経歴
芸歴
昭和13年、日劇ダンシングチームでバレエを習い、その後、西崎緑の紹介で八代目市川八百蔵(八代目市川中車)に入門。昭和15年4月歌舞伎座で市川八百恵を名乗り初舞台。戦後、十四代目守田勘弥の門に転じ、昭和22年2月、新宿第一劇場『鶴八鶴次郎』の舞台で二代目坂東守弥と改名(「劇評」昭和29年5月号所載の芸歴による)。昭和29年4月歌舞伎座『鳥辺山心中』のお雪で二代目坂東かしくを襲名し、名題昇進。いったんフリーとなり、昭和47年に現・中村東蔵一門に入り、中村東と改名。昭和49年4月伝統歌舞伎保存会会員の第3次認定を受ける。