市川 笑也 (2代目) イチカワ エミヤ

屋号
澤瀉屋
定紋
一ツ丸澤瀉
所属
伝統歌舞伎保存会会員

プロフィール

▼市川猿翁門下で、『當世流小栗判官(とうりゅうおぐりはんがん)』の照手姫や『三国志』などのスーパー歌舞伎シリーズで市川猿翁(当時は猿之助)の相手役を勤め、その存在を歌舞伎ファンに知らしめた。近年も現猿之助のスーパー歌舞伎Ⅱ『ワンピース』に参加し、澤瀉屋一門の重鎮として的確な演技で若手俳優を引っ張っている。
女方としては、透明感のある声と清楚な美しさが印象に残るが、はかなさのなかにも強い意思を持った女性を演じるとその魅力はさらに倍加する。立役でもその美貌を活かした若衆役や二枚目を演じるが、ユーモラスな老人役などをふられても違和感なく見せるあたりはさすが。ひとつのイメージに縛られない引き出しの多さが俳優としての実力を物語る。
歌舞伎の舞台以外でも、武田勝頼を演じたNHKの大河ドラマ『天地人』や映画『山本慈昭 望郷の鐘 満蒙開拓団の落日』などの映像作品に出演している。

〔小菅昭彦〕

経歴

芸歴

▼1959年4月14日生まれ。80年3月国立劇場第5期歌舞伎俳優研修修了。同年4月国立劇場小劇場『絵本合法衢(えほんがっぽうがつじ)』の中間で泉山太男の名で初舞台。81年2月三代目市川猿之助(現・猿翁)の門下となり、二代目市川笑也を名のる。90年2月猿之助の部屋子となる。98年7月歌舞伎座『義経千本桜』鳥居前の静御前で名題昇進。

受賞

▼2012年重要無形文化財(総合認定)に認定され、伝統歌舞伎保存会会員となる。13年10月『一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)』陣門・組討の玉織姫で国立劇場奨励賞。16年12月『仮名手本忠臣蔵』九段目の由良之助妻お石で国立劇場優秀賞。

舞台写真