市川 莚若 (2代目) イチカワ エンジャク
- 本名
- 渡辺増蔵
- 屋号
- 高島屋
- 定紋
- 鬼蔦、松川菱
- 生没年月日
- 明治34(1901)年11月16日〜昭和42(1967)年11月02日
- 出身
- 東京・日本橋
プロフィール
岡本綺堂作『箕輪の心中』の初演は明治44年9月の明治座。このとき小坊主安念の役を務め、可愛らしさで評判になったのが少年時代の市川蔦丸である。名題に昇進して市川莚若。師匠二代目市川左團次一座の立女形(たておやま)二代目市川松蔦の前名なのだから、当然女形として進んだ。
師の没後は二代目市川猿之助(初代猿翁)の一座に属し、戦後は初代中村吉右衛門の『縮屋新助』で笹っ葉おすずの役に買われたこともあったが、そのあとは菊五郎劇団と同座、世話物で遣手や長屋の女房など、立役では侠客物の子分の役や『石切梶原』の呑助など、広範囲にわたる脇役として重宝がられた。二代目左團次一座で育ったためか新作、現代劇にもすぐれ、昭和35年4月新宿第一劇場で菊五郎劇団若手一座による『車引殺人事件』(戸板康二原作・加賀山直三脚色・演出)が上演されたとき楽屋頭取の役に扮したが、これがピタリと嵌まっていた。
俳優中では博識家として知られた。また、ユーモアに富んだ性格で、人柄は楽屋中で愛されていたという。
【松井俊諭】
経歴
芸歴
二代目市川左團次に入門し、明治38年3月明治座『寺子屋』の長松で市川蔦丸と名乗り初舞台。大正11年9月明治座『釣天井』(岡鬼太郎作)の藤左衛門娘お早、『謎帯一寸徳兵衛』の女髪結お松で市川莚若を襲名、名題昇進。