市川 猿十郎 (4代目) イチカワ エンジュウロウ
- 本名
- 木原宏和
- 屋号
- 澤瀉屋
- 定紋
- 澤瀉
- 生没年月日
- 昭和34(1959)年03月04日〜平成16(2004)年08月05日
- 出身
- 鹿児島市
プロフィール
研修生出身で、キビキビした立廻りの腕を坂東八重之助が大いに買っていた。三代目市川猿之助(現・猿翁)門下となり、『加賀見山再岩藤(かがみやまごにちのいわふじ)』や『獨道中五十三驛(ひとりたびごじゅうさんつぎ)』「岡崎の猫」などのカラミの巧さは、爽やかな魅力だった。名題に昇進してからは、もっぱら敵役として目立っていた。とにかく芸に真摯な若手で、一門の立師(たてし)としても貴重な存在だったのに、まだ40代半ばで逝ってしまった。まことに惜しい逸材だった。
【秋山勝彦】
経歴
芸歴
昭和51年国立劇場第3期歌舞伎俳優研修修了。同年4月国立劇場『金門五山桐』の侍ほかで本名で初舞台(研修中に昭和50年12月帝劇『義経千本桜』捕手などに出演)。三段目市川猿之助(現・猿翁)に入門し、昭和52年10月歌舞伎座『双蝶々』角力場の見物ほかで四代目市川猿十郎を名乗る。平成2年12月歌舞伎座『義経千本桜』忠信篇の武蔵坊弁慶で名題昇進。
受賞
昭和51年12月『沓手鳥孤城落月(ほととぎすこじょうのらくげつ)』の立廻りで、52年3月『志(し)らぬひ譚(ものがたり)』の蟹の精で国立劇場奨励賞。59年7月『極付獨道中五十三驛(きわめつきひとりたびごじゅうさんつぎ)』のおくらで歌舞伎座優秀賞。平成10年12月『国性爺合戦』立師としての成果で歌舞伎座賞。11年7月『伊達の十役』吹き替えの演技で歌舞伎座賞。