中村 吉之助 (2代目) ナカムラ キチノスケ

本名
阿部雄治
屋号
播磨屋
定紋
揚羽蝶
生没年月日
昭和8(1933)年05月20日〜ご健在
出身
東京・九段

プロフィール

初代中村吉右衛門が贔屓にした九段の鰻屋の息子。その縁で吉右衛門に入門して初舞台を踏んだという。小柄でちょっと太めの身体つきに、ぽっちゃりとした丸顔で、いかにも東京ッ子らしいおきゃんな色気があり、まめまめしい町娘や腰元、芸者などがよく似合う女形だった。吉右衛門の没後は八代目松本幸四郎(白鸚)門下となり、師とともに東宝に移籍して女優とも芝居をしていた。東宝劇団の若手勉強会では『仮名手本忠臣蔵』六・七段目のおかるや『加賀見山旧錦絵(かがみやまこきょうのにしきえ)』の召使お初などの大役を演じている。また本公演でも『東海道四谷怪談』の乳母お槙をつとめている。明るい性格で、幕内では「うなぎや」の愛称で親しまれていた。大歌舞伎に戻り、これからという時期に引退してしまったのが惜しまれる。

【浅原恒男】

経歴

芸歴

昭和22年12月三越劇場『勢獅子』の鳶で中村吉雄を名乗り初舞台。昭和30年9月歌舞伎座『松竹梅湯島掛額』の八百屋お七で二代目中村吉之助を襲名、名題昇進。昭和36年2月松竹から東宝へ移籍。昭和46年12月帝劇『松浦の太鼓』のお縫で幹部昇進。昭和47年5月伝統歌舞伎保存会会員の第2次認定を受ける。

受賞

昭和44年9月『蔦紅葉宇都谷峠』の女中おせんで国立劇場奨励賞。

舞台写真