市川 左喜松 (3代目) イチカワ サキマツ
- 本名
- 渡邊豊次郎
- 屋号
- 高嶋屋
- 生没年月日
- 明治31(1898)年06月26日〜昭和35(1960)年07月31日
- 出身
- 東京都・日本橋
プロフィール
戦後の廃業期間中、菓子や雑貨の行商をして楽屋内を売り歩いていたことがある。復帰後の昭和27年8月に新橋演舞場で十七代目中村勘三郎が『暗闇の丑松』を初演したとき、大詰「松の湯の場」で活躍する湯屋番の役に扮して好評だったが、同年11月には歌舞伎座で六代目中村歌右衛門演じる『近江のお兼』の馬の足を務めている。過去に名題の披露もしたことのある俳優としては異常のことだったが、あるいは何かの事情によって名題資格を失っていたのかも知れない。
その後、二代目市川左團次門下ということで三代目左團次の門に移ったが、芸名は名題下時代の左喜松だった。
昔の大部屋育ちらしい、楽しい俳優。なお馬の足は早くから得意だったようで、「劇評」27年12月号には、その芸談が載っている。
【松井俊諭】
経歴
芸歴
二代目市川左團次に入門し、明治39年浅草宮戸座『寺子屋』の小太郎で市川糸丸を名乗り初舞台。その後市川岩丸、市川左喜松を名のる。昭和16年6月東京歌舞伎座で市川左喜之助と改名し名題昇進。戦後廃業していたが、昭和25年八代目松本幸四郎(初代白鸚)門下に復帰し、松本高五郎と改名。昭和29年元の市川左喜松を名のる。