市川 左文次 (2代目) イチカワ サブンジ
- 本名
- 一丸秀敏
- 屋号
- 高島屋
- 定紋
- 三升の中に文の字
- 生没年月日
- 明治31(1898)年10月15日〜昭和43(1968)年01月12日
- 出身
- 東京・銀座
プロフィール
二代目市川左團次門下最後の生き残りの人。晩年は痩身な老人役の印象が強かったが、左團次一座で育った人らしく、新歌舞伎のわき役で存在感を見せた。『小栗栖の長兵衛』の長九郎や『一本刀土俵入』の清大工など、サラリとした老人役にいかにもそれらしい雰囲気があり、舞台の点景になっていた。義太夫狂言でも『酒屋』の半兵衛など、情愛と義理にひき裂かれる老父の苦衷をうまく見せていた。さすがにベテランの味であった。変わったところでは、昭和37年8月歌舞伎座における三波春夫公演『風流奈良丸くづし』の劇中劇「日清戦争玄武門の一番乗り」で演じた原田一等兵の役。いわゆるフシ劇の主人公で、三波の浪花節に合わせた珍妙なしぐさが傑作だった。
【秋山勝彦】
経歴
芸歴
六代目尾上梅幸に入門、明治44年4月帝国劇場翻訳劇『椿姫』にて尾上梅次を名乗り初舞台。大正10年5月尾上梅助を襲名、名題昇進。蒲田撮影所入社、二代目市川左團次に入門し、市川左文次を名乗る。左團次没後、二代目市川猿之助(初代猿翁)劇団に所属。昭和40年4月伝統歌舞伎保存会会員の第一次認定を受ける。