市川 照蔵 (2代目) イチカワ テルゾウ
- 本名
- 鈴木茂
- 屋号
- 滝野屋
- 定紋
- 四つ紅葉
- 生没年月日
- 明治19(1886)年01月17日〜昭和30(1955)年06月16日
- 出身
- 東京
プロフィール
師匠六代目市川門之助の遺児・四代目市川男寅(おとら)(後の三代目市川左團次)が六代目尾上菊五郎のもとで修業するにともなって同じく菊五郎一門となり、尾上菊五郎劇団発足後もその一員として活躍した。
江戸世話物の脇役では市井の生活感に富んだ名技を示し、とくに六代目菊五郎の『髪結新三』における家主女房は長いあいだ定評のあった傑作で、六代目菊五郎没後は二代目尾上松緑の新三でも持ち役にしていたもの。淡々たる科白のうちに飄逸な味があり、間(ま)のよさは無類だった。ほかに当たり役は『助六』の遣手、『魚屋宗五郎』の父太兵衛など。新作にも理解力があり、『春の雪解』(宇野信夫作)の八百屋隠居おもと、『たぬき』(大佛次郎作)の隠亡多吉など、作者も高く評価していた役である。
古風な役者気質の人だったが、第2次大戦後のインフレ時代、俳優の待遇改善の闘争で尽力したという強靭さもあった。
【松井俊諭】
経歴
芸歴
六代目市川門之助に入門、明治27年11月歌舞伎座で市川滝の子を名乗り初舞台。その後市川豹次郎と改名。明治45年6月歌舞伎座『大山詣(おおやままいり)』などで二代目市川照蔵を襲名、名題昇進。大正3年門之助没後は六代目尾上菊五郎の一座で活躍。