中村 梅花 (3代目) ナカムラ バイカ

本名
萩原清治郎
屋号
京扇屋
定紋
裏梅
生没年月日
明治40(1907)年01月24日〜平成4(1992)年07月01日
出身
東京

プロフィール

幼少時から芝居が好きで、一般の家庭から五代目中村歌右衛門に弟子入りした。五代目亡きあと、その長男の五代目中村福助の遺児の四代目中村児太郎(のちの七代目芝翫)に付きそって、成駒屋一家ひと筋に尽くしてきた。抜群の記憶力で生き字引と言われたお師匠番で、成駒屋の家の芸の伝承に貢献した。五代目歌右衛門、五代目福助の芸を克明に憶えていて、それを芝翫に伝えた。芝翫の子息である現・福助、三代目中村橋之助(現・芝翫)も育てている。『妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)』吉野川や『伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)』御殿の腰元、『天衣紛上野初花(くもにまごううえののはつはな)』大口屋寮の新造などで、わきの基本を見せた。晩年は舞台を引退し、国立劇場の歌舞伎俳優養成研修の指導や伝統歌舞伎保存会主催「葉月会」の監修に尽力するなど、後進の指導に心血を注いだ。土岐迪子による聞書『大歌舞伎の女方』(平成5年、日本芸術文化振興会、非売品)が没後に刊行されている。

【粟屋朋子】

経歴

芸歴

大正4年10月歌舞伎座『比翼塚』の禿(かむろ)で初代中村芝喜松を名乗り初舞台。昭和3年10月歌舞伎座『先代萩』御殿の申次の腰元で中村芝香と改名、名題昇進。昭和11年11月歌舞伎座「三代目歌右衛門建碑記念興行」において『其小唄夢廓(そのこうたゆめもよしわら)』の新造初音で三代目中村梅花を襲名。昭和40年4月伝統歌舞伎保存会会員の第1次認定を受ける。

受賞

昭和56年4月勲五等双光旭日章。同年10月日本俳優協会永年功労者表彰。昭和61年記録作成等の措置を講ずべき無形文化財に指定。昭和61年11月国立劇場開場20周年記念功労者表彰。昭和63年第8回伝統文化ポーラ賞特賞。

著書・参考資料

平成5年『大歌舞伎の女方 中村梅花聞書』(中村梅花述、日本芸術文化振興会[非売品])

舞台写真