中村 魁春 (2代目) ナカムラ カイシュン
- 屋号
- 加賀屋
- 定紋
- 梅八ツ藤
- 所属
- 伝統歌舞伎保存会会員
プロフィール
▼女方の第一人者。戦後歌舞伎の頂点を極め、至高の女方と呼ばれた養父・六代目中村歌右衛門のもとで修業を重ねた。魁春の名は父の俳名で、没後1年で二代目を襲名。中村松江を名乗っていた若い頃は、父の舞台で『吉野川』の雛鳥や『忠臣蔵』九段目の小浪などを初々しく勤め、魁春襲名後は『十種香』の八重垣姫、『金閣寺』の雪姫、『鎌倉三代記』の時姫の「三姫」で堂々たる舞台を見せた。近年では『忠臣蔵』九段目の戸無瀬、『熊谷陣屋』の相模、『寺子屋』の千代、『女暫』など父が手掛けて当たり役としていた立女形(たておやま)の役柄に存在感を示している。本格と品格を心掛け、古風な味わいを醸し出す。厳しい薫陶を受けた父と長年舞台をともに勤めた経験が今に生きており、舞台を見ていると亡き歌右衛門の面影がよみがえってくる。魁春襲名後は世話女房にも意欲的に取り組み、父が演じることのなかった『魚屋宗五郎』のおはまなどを持ち役としてしばしば勤めている。
〔石山俊彦〕
経歴
芸歴
▼1948年1月1日生まれ。六代目中村歌右衛門の養子となり、56年1月歌舞伎座『蜘蛛の拍子舞』の翫才で加賀屋橋之助を名のり初舞台。67年4・5月歌舞伎座『絵本太功記』の初菊、『忠臣蔵』の小浪ほかで五代目中村松江を襲名。2002年4月歌舞伎座『将門』の滝夜叉姫、『本朝廿四孝』の八重垣姫で二代目中村魁春を襲名。
受賞
▼1974年重要無形文化財(総合認定)に認定され、伝統歌舞伎保存会会員となる。80年11月『貞操花鳥羽恋塚(みさおのはなとばのこいづか)』の待宵の侍従で、93年10月『国性爺合戦』の錦祥女で国立劇場奨励賞。84年12月『大經師昔暦』の女中お玉で、92年12月『吉田屋』の夕霧で、98年10月『佐倉義民伝』の女房おさんで、2001年12月『三人吉三廓初買』の一重で、06年11月『元禄忠臣蔵』の江島で、12年3月『一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)』熊谷陣屋の相模で国立劇場優秀賞。88年5月歌舞伎座『妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)』の雛鳥で松竹社長賞。92年度日本芸術院賞。93年4月第十二回眞山青果賞奨励賞。94年『寺子屋』の戸浪で名古屋演劇ペンクラブ年間賞。2008年紫綬褒章。
舞台写真
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