中村 もしほ (5代目) ナカムラ モシオ
- 本名
- 鳴海孝昭
- 屋号
- 播磨屋
- 定紋
- 揚羽蝶
- 生没年月日
- 昭和13(1938)年10月28日〜不明【昭和44(1969)年5月廃業】
- 出身
- 東京
プロフィール
五代目市川九蔵の子。十七代目中村勘三郎が可愛がっていた弟子で、自身の前名・もしほを襲がせたことでも、才能をみこんでいたことがわかる。その襲名披露の歌舞伎座『藤娘』の清々しい美しさは観客を魅了した。父の九蔵は堅実で地味な役者だったので、その息子の清楚な女形ぶりは俄然注目された。その後、髪結新三を演じた勘三郎が、白子屋の下女お菊など目に立つ役を配したが、その美しさはクールで、意欲的なものがあまり感じられず、襲名を機にした飛躍はみられなかった。東横ホールの若手公演で『寺子屋』なら戸浪、『義経千本桜』「すしや」なら若葉の内侍などを相応に演じていたが、数年後、舞台から姿を消してしまった。交通事故が原因だそうだが、大成していたらさぞかし、と惜しまれた女形の1人である。
【小宮暁子】
経歴
芸歴
昭和32年2月歌舞伎座『二月堂』の僧で中村仲之助を名乗り初舞台。昭和39年7月歌舞伎座『偲草姿錦絵』の藤娘で五代目中村もしほを襲名。昭和45年5月廃業。