片岡 亀蔵 (4代目) カタオカ カメゾウ

屋号
松島屋
定紋
銀杏丸
所属
伝統歌舞伎保存会会員

プロフィール

▼ギョロッとした大きな眼、への字に結んだ大きな口に面長の輪郭。“片市”の愛称で親しまれた父・五代目片岡市蔵譲りの立派な面構えだ。口跡の良い、ざらついた声も魅力。父同様に『寺子屋』の春藤玄蕃、『実盛物語』の瀬尾、『一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)』の八剱勘解由などの赤っ面や、『忠臣蔵』の九太夫、『河内山』の北村大膳などの端敵は本領。勘解由は父の最後の役でもあった。憎々しさのなかに漂う程良いユーモアと愛嬌は持ち味で、名題昇進した『鳥居前』の笹目忠太のような半道敵もピッタリ。若い頃は菊五郎劇団に一座していたが、腕を買われ中村屋一門の公演の常連となった。『らくだ』の馬太郎や『四谷怪談』の宅悦などはこの“出会い”あっての当たり役。新作歌舞伎での体当たりの演技も光るが、近年は『傾城反魂香』の将監や『増補忠臣蔵』の本蔵、『髪結新三』の家主などの老け役も似合ってきた。兄・片岡市蔵と共に、歌舞伎に厚みを加える名脇役となってほしい。

〔内河 文〕

経歴

芸歴

▼1961年9月15日生まれ。五代目片岡市蔵の次男。65年12月歌舞伎座『忠臣蔵』の天川屋義平の一子・由松で片岡二郎を名のり初舞台。69年11月歌舞伎座『辨天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)』の丁稚(でっち)三吉ほかで四代目片岡亀蔵を襲名。95年名題昇進。

受賞

▼1967年5月『佐倉義民傳』の宗吾次男徳松で国立劇場特別賞。93年1月『源平布引滝』実盛物語の矢走仁惣太で国立劇場奨励賞。95年と99年に歌舞伎座賞。98年眞山青果賞助演賞。2001年重要無形文化財(総合認定)に認定され、伝統歌舞伎保存会会員となる。06年1月『曽我梅菊念力弦(そがきょうだいおもいのはりゆみ)』の堤幸左衛門などで、18年3月『増補忠臣蔵』の加古川本蔵と『髪結新三』の家主長兵衛で国立劇場優秀賞。

舞台写真