中村 勘九郎 (6代目) ナカムラ カンクロウ

屋号
中村屋
定紋
角切銀杏
所属
伝統歌舞伎保存会会員

プロフィール

▼NHKの大河ドラマ『いだてん』で日本最初のマラソンランナー金栗四三を演じる勘九郎を見ていると、この人に宿っている役者の血を思わざるを得ない。それは時として成算を度外視してでも役にのめり込む役者魂と切り離せない。父の十八代目中村勘三郎、祖父の十七代目勘三郎は、観客からすればまず何をおいても見るものを喜ばせようとするうれしい役者だったが、その血はまぎれもなく勘九郎にも受け継がれている。だがその表れ方は昭和の観客を前にした祖父、平成の観客の前で花開いた父とは当然違うはずで、令和という新しい時代の観客の前にどういう歌舞伎を見せるか。そのとき物を言うのは、父に厳しく仕込まれた芸の基本の正しさである。最近の舞台では、弟の中村七之助とおこなった父の追善の『助六』の白酒売で見せた本格の江戸和事の芸と、2018(平成30)年1月『車引』の梅王丸の荒事で技術的にも困難な幕切れの裏見得を見事にして見せたのが、その良き表れとして忘れ難い。

〔上村以和於〕

経歴

芸歴

▼1981年10月31日生まれ。十八代目中村勘三郎の長男。86年1月歌舞伎座『盛綱陣屋』の小三郎で初お目見得。87年1月歌舞伎座『門出二人桃太郎』の兄の桃太郎で二代目中村勘太郎を名のり初舞台。2012年2月新橋演舞場『土蜘』の僧智籌実は土蜘の精、『春興鏡獅子』の小姓弥生後に獅子の精などで六代目中村勘九郎を襲名。

受賞

▼1990年松竹社長賞。2000年関西・歌舞伎を愛する会賞。01年映画『ターン』の泉洋平で第十一回日本映画批評家大賞新人賞。09年平成中村座『仮名手本忠臣蔵』の早野勘平など八役で第十六回読売演劇大賞杉村春子賞。同年度第二十六回浅草芸能大賞奨励賞。同年重要無形文化財(総合認定)に認定され、伝統歌舞伎保存会会員となる。12年第三十三回松尾芸能賞新人賞。13年コクーン歌舞伎『天日坊』の法策後に天日坊実は清水冠者義高などで第二十回読売演劇大賞最優秀男優賞。同年第四回岩谷時子賞奨励賞。13年11月新橋演舞場『さらば八月の大地』の張凌風などで13年度第三十九回菊田一夫演劇賞。15年第一回森光子の奨励賞。

著書・参考資料

▼著書『歌舞伎の名セリフ 粋で鯔背なニッポン語』(2002年、光文社)、写真集(操上和美写真)『中村勘太郎写真集』(03年、朝日新聞社)、写真集(篠山紀信写真)『中村勘九郎の新世界』(12年、世界文化社)、写真集(篠山紀信写真)『六代目中村勘九郎写真集』(15年、光文社)

舞台写真