中村 錦之助 (2代目) ナカムラ キンノスケ

屋号
萬屋
定紋
桐蝶
所属
伝統歌舞伎保存会会員

プロフィール

▼2019(令和元)年4月に演じた『新版歌祭文』座摩社・野崎村の丁稚久松は、還暦に近いのに前髪の若衆姿がよく似合い、若々しくはんなりと色気を漂わせた。『双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)』新清水浮無瀬の山崎屋与五郎のような白塗りの二枚目がよく似合う。18年間在籍した市川猿之助(現・猿翁)一座で苦労し勉強したことが役に立っている。いまでは『夏祭浪花鑑』の一寸徳兵衛で中村吉右衛門の団七と達引する大きな役者になった。『伊賀越』の股五郎などの敵役に線の太さを出し、『鈴ヶ森』の幡随院長兵衛や『髪結新三』の弥太五郎源七などでは親分の貫禄を見せる。『毛抜』の粂寺弾正のおおどかさ、『西郷と豚姫』の西郷吉之助の風格となかなかのものである。2007(平成19)年に大スターだった叔父の名跡・中村錦之助の二代目を襲名してから芸格が一段と大きくなり、新春浅草歌舞伎のお目付役としての責任も増した。兄の中村時蔵よりちょっとした表情が早世した父の四代目時蔵にそっくりである。

〔横溝幸子〕

経歴

芸歴

▼1959年9月29日生まれ。四代目中村時蔵の次男。祖父は三代目中村時蔵。兄は現・時蔵。いとこに中村歌六、中村又五郎、中村獅童がいる。64年7月歌舞伎座『宮島のだんまり』の梢ほかで中村信二郎を名のり初舞台。98年名題適任証取得。07年4月歌舞伎座『鬼一法眼三略巻』菊畑の虎蔵実は牛若丸、『双蝶々曲輪日記』角力場の放駒長吉で二代目中村錦之助を襲名。

受賞

▼1990年重要無形文化財(総合認定)に認定され、伝統歌舞伎保存会会員となる。93年第十四回松尾芸能賞新人賞。2000年12月『素襖落』の鈍太郎などで、02年12月『彦山権現誓助剣(ひこさんごんげんちかいのすけだち)』の若党友平で国立劇場奨励賞。09年12月『修禅寺物語』の源頼家で、12年11月『浮世柄比翼稲妻』の名古屋山三で、16年10月『仮名手本忠臣蔵』大序・二段目・三段目の桃井若狭之助で国立劇場優秀賞。17年第三十八回松尾芸能賞優秀賞。

舞台写真