中村 吉之丞 (3代目) ナカムラ キチノジョウ

屋号
播磨屋
定紋
揚羽蝶
所属
伝統歌舞伎保存会会員

プロフィール

▼子役から中村吉右衛門の弟子となり、頭角を現した立役。役幅は広く、風貌には愛嬌がある。『一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)』の八剣勘解由、『熊谷陣屋』の梶原平次景高では敵役らしい憎らしさを出し、『毛谷村』の杣(そま)斧右衛門、『仮名手本忠臣蔵』七段目の鷺坂伴内にはおかしみがあった。数を重ねているのが狂言舞踊『太刀盗人』の目代丁字左衛門で、役にふさわしい大らかさを醸し出した。新作歌舞伎『野田版 桜の森の満開の下』では青名人で存在感を発揮。

〔小玉祥子〕

経歴

芸歴

▼1967年生まれ。78年7月歌舞伎座『加賀見山再岩藤(かがみやまごにちのいわふじ)』の丁稚で森島啓介の名で初舞台。81年4月中村吉右衛門の部屋子となり、歌舞伎座『元禄忠臣蔵』最後の大評定の吉千代ほかで中村吉男を名のる。94年4月三代目中村吉之助と改め、歌舞伎座『勧進帳』『熊谷陣屋』の四天王で名題昇進。95年9月二代目中村吉之丞の芸養子となる。16年9月歌舞伎座『一條大蔵譚』の八剣勘解由などで三代目中村吉之丞を襲名。

受賞

▼2001年10月『天下茶屋聚(てんがちゃやむら)』の万歳鶴太夫で、03年7月『卅三間堂棟由来(さんじゅうさんげんどうむなぎのゆらい)』の伊佐坂運内で、09年12月『頼朝の死』の中野五郎能成で、17年3月『伊賀越道中双六』の沢井城五郎と夜回り時六で、18年12月『増補双級巴(ぞうほふたつどもえ)』の小鮒の源五郎で国立劇場奨励賞。03年第九回日本俳優協会賞奨励賞。05年重要無形文化財(総合認定)に認定され、伝統歌舞伎保存会会員となる。06年第十二回日本俳優協会賞。

舞台写真

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